約 4,686,886 件
https://w.atwiki.jp/lcss/pages/224.html
前話 ナイトオブゼロとナイトオブセブンの直属開発機関“キャメロット”に割り当てられた政庁格納庫の一角。整備員が忙しなく動いているのはどこでも同じだが、元々技術開発を専門としていた特派のころから人員は特に変わっていないので、 他に比べて技術者の姿が現場で多く見られるのが特徴である。 キュウシュウにおいて黒の騎士団との戦闘が始まり、数日が経ったある日。ロイドに呼び出されたロイは、この格納庫にきていた。隣には自機の整備を終わらせたアーニャの姿もある。 「それで、話とはなんですか」 目の前に立つロイドは、常に現場で作業しているにも関わらず一切汚れのない白衣を揺らしながら、珍しく苦笑を浮かべた。 「まぁ、大した用事じゃないんだけど。“フレイヤ”の件でちょっと」 「フレイヤ?」 聞きなれない単語を耳にして、アーニャが首を傾げた。 「……その話ならすでに済ませたと思いますが」 ロイは少々乱暴にメガネの位置を指で直す。 “フレイヤ”。シュナイゼル直属の研究チームが開発した新型爆弾の名称である。その威力は――資料を読み終えたロイの額に冷たい汗を浮かばせるものだった。その“フレイヤ”をランスロット・クラブに搭載したいと話をされたのが三日前、 ノネット等の三人のラウンズがエリア11に来てすぐの事だった。 その話に色々思うところはあったものの、拒否をする理由も見当たらなかったロイは、クラブへの搭載を許可した。 「すでに僕のクラブへの搭載は済ませてあるんでしょう?」 自身の専用KF――ランスロット・クラブを下から見上げる。流動的な青い装甲を持つ、小柄な騎士を連想させる機体である。現在、その機体の腰部には、外観に不釣り合いとも言える巨大なハンドキャノンのような武装が取り付けられていた。 それがフレイヤの射出装置だった。ロイが、自身の機体に装備を許可したが使用を固く戒めた新兵器だった。 「資料にはすべて目を通し、指示されたシュミレートもすべて済ませました。この兵器の説明なら僕にはもう必要ないと思いますが」 言葉に少し刺が内在していることを自覚し、思い直して修正する。確かに、ロイはこのフレイヤに対して嫌悪感に近いものを抱いているが、だからと言ってそのフレイヤを避けるような言動は、あまりにラウンズとしてふさわしくないものだった。 「追加の情報でも?」 そうロイが聞き返すと、ロイドは否を示すように軽く手を振った。 「そうじゃないよ。実は、クラブに取り付けたフレイヤをスザク君のランスロットに付け替えようと思ってね。君の許可をもらいたいのさ」 ラウンズ専用機の武装・仕様の変更は、すべてそのラウンズ本人の了承を経て行われるもので、フレイヤという武装をクラブから取り外すためにはロイの許可が必要である。 ちなみに、現在のクラブに装備されている可変型ハドロンブラスターなどはロイの知らぬ存ぜぬところで開発された経緯はあるものの、換装はロイの了承の下で行われたのである。 「許可を出すのは構いませんが……」 と口では言いつつも、ロイは視線で理由を求めた。それを察したロイドは、何から説明すればいいのか分からないといった様子で考え込んだ。 「一人、頑固者がいてね」 「ロイド先生。その先は私から」 その時、ある女性がそう遠くない格納庫の入口から姿を現し、ロイ達に近寄ってきた。体格は細見で歳は十代後半程。大きな眼鏡をかけている点はロイに共通するところがあるが、瞳が除けないほど分厚いレンズではなく、 その少女の表情はロイ達からでも良くうかがえた。 「紹介するよロイ君。彼女はニーナ・アインシュタイン。フレイヤを開発したグループのチーフだ」 そう少女を紹介したあと、ロイドはロイに近寄って、 「そして戦術兵器に、戦略兵器を搭載する事を思いついたユニークな子さ」と呟いた。 フレイヤは戦略兵器どころか、国の存亡をも直接的に作用する政略兵器だ、とロイは思っていたが、この場ではあえて口には出さなかった。それよりも、噂には聞いていたが、フレイヤを作ったのがこんな少女だという驚きで言葉を失ってしまった。 「はじめましてキャンベル卿。ニーナ・アインシュタインと申します」 「はじめまして。ロイ・キャンベルです」 型通りの挨拶を済ませたとき、ロイの頭の中で何かがひらめいた。 「ニーナ・アインシュタインって、まさか、アッシュフォード学園の」 ニーナはすでに思い当っていたのか、ロイの反応を面白そうに眺めている。 「生徒会役員をしていたことがあります」 「先輩でしたか」 ここでロイは初めて微笑を浮かべた。しかし、それも長くは続かなかった。ニーナの表情が真剣なものに変わったからである。 「今回の件ですが、私がスザクのランスロットへの搭載を希望しました」 差し出そうとしていた右手は出番を失った。それを他者に感じられない程度に困惑しながら戻しつつ、ロイは尋ねた。 「私では、ご心配ですか?」 「いいえ、違います。スザクはユーフェミア様の騎士ですから。彼に、その意思を継いで欲しいんです」 すんなりとニーナから出たその言葉は、ロイの思考をひどく惑わした。 「それは、どうゆう意味ですか」 ニーナの言葉は、取りようによってはひどく偏った認識のように思えた。 「だから、申し訳ありませんがキャンベル卿。どうかスザクにフレイヤを譲ってくださいませんか」 「ちょっと待ってください。それって本当にどうゆう意味ですか」 ロイの言葉に混じりだした迫力に、ミーナは少し鼻白んだ。えっ、私何か変なこと言いました? と言いたげに首を傾げる。 「あなたの言いようだと、まるで」 ユーフェミアが喜んでイレヴンの虐殺をしていたような言い草である。 その時、二人の間に浮くような足取りで割り込んできた人物がいた。ロイドだった。 「と、こう言う人がいるんだよロイ君」 出鼻を挫かれて、ロイはつま先に移動しかけていた体重をかかとに戻す。少々感情的になりかけた頭を冷やすために、次の発言には数瞬だけ間を置いた。 「……スザクは何と言ってるんですか」 「取り付けてくれてかまわないそうだ。どうせ使わないからと」 そう言われてしまえば拒否する理由はロイには無い。しかし、そうすることに対して、言いようのない不納得感がロイの中で広がっていく。 その原因は分からない。いや、それは嘘だ。ロイ自身、分かっていたけどそれが分からないように誤魔化してきただけだった。 スザクを信じられない? 自身に問いかける。一年前までなら鼻で笑ってそんな馬鹿な、と否定しただろう。しかし……。 ――ロイ、君なら分かるんじゃないのか。 シャーリーが亡くなった後、スザクに言われた言葉が脳内で反芻される。あの時、スザクはロイに疑惑をかけた。その瞬間、ロイとスザクの信じ、信じられて成り立っていた強固な関係は確実に崩れ去っていた。 ロイは、少し強めに指で頭を掻いた。 「いいでしょう、許可します。別段断る理由はありませんから」 ロイドが意味深に瞼を細めると同時に、ニーナは小さく頭を下げた。 「申し訳ありません、無理なお願いをしてしまって。しかし、これできっと戦争はおわります」 「……ニーナさん。最後にひとついいですか」 「はい」 「戦場に向かう軍人に余計なものを背負わせると、総じて上手くいかないものです」 「……え?」 「僕が言いたいのはそれだけです。行こう、アーニャ」 ロイがニーナ達から背を向けて歩き出すと、呼びかけに従ってアーニャもその後に続いた。 残されたニーナはしばし呆然としていた。 「ロイ君の言う事はもっともだよニーナ君」 と、彼女の横からため息交じりに告げたのはロイドだった。 ○ 政庁最深部。未だ、監禁状態から抜け出せない紅月カレンは、建物の中心をを貫くように作られた檻の見えない天井を見つめながら、彼に再び会うための考えを巡らしていた。 絶対に、彼にまた会って、そして改めて確かめなければならない。しかし、そのためにはここから抜け出さなくては。 「そうやって何を考えているのかな」 カレンの思考に、軽薄だが好感のもてる声が割り込んだ。天井から視線を戻すと、そこには白い軍服を着た長身の男が立っていた。 隣の部屋で息を潜める人数と、性別まで把握できるカレンに気付かれずに入室してくるとは、相変わらずラウンズという人種は底が見えない。 カレンは警戒心を強めつつその名を呼んだ。 「ナイトオブスリー」 「二人の時はジノでいいよ。同じ生徒会役員なんだし」 ナイトオブスリー、ジノ・ヴァインベルグは油断ない足取りで、曇り一つ無い強化ガラスの檻の前まで歩いてきた。 「なぁ、スザク。来てないか?」 「そんなこと、私が知るわけ無いでしょ」 「そうか、てっきりここに寄ってると思ったんだが」 きょろきょろとあたりを見渡すジノ。この部屋は広大とは言え、人が隠れられる遮蔽物などは一切ないので、この部屋に入った時点でカレン以外に誰もいない事は分かるはずだが、多分こういう無駄な行動が好きな性格なのかもしれない。 「用事が終わったのなら出口はあっちよ」 冷笑を返すと、それを中和するかのようにジノは緩んだ笑みを浮かべた。 「そう邪険にしないでくれよ。いいものを持ってるんだ」 ジノは手に持っていた分厚い本を、檻越しに開いて見せた。 そこには懐かしいアッシュフォード学園生活の写真が貼り付けてあった。 カレンは思わず冷笑の衣をはがして尋ねてしまった。 「それって、アルバム?」 「スザクの。ロッカーの裏に大事そうにしまってあった」 改めてアルバムを見ると、そこには笑顔のみんなが写っている。楽しかったあのころがカレンの記憶の中で猛烈に呼び起される。 「……」 「そういう顔もするんだな」 「えっ」 「すごく、いい顔してた」 恥ずかしげもなく女性の容姿を褒めるジノの言動に、カレンは困惑した。どことなく、そういうことを平然と発言するところは彼と似ている、とめくられていくページを眺めながらも、カレンはそんな事を考えていた。 「こんなものでもスザクの気晴らしになるかと思って持ってきたけど。君にとっても効果はあったみたいだね」 「……」 懐かしい顔や、楽しかった思い出をそのまま焼き付けたアルバムは、最初、カレンの心に穏やかな風を吹かせたが、その表情は次第に険しく――いや、寂しげに変化していった。 「彼の写真は無いんだよ」 カレンの表情を察して、ジノがその心境を代弁した。 「まぁ、君たちと仲良くしている写真が見つかれば、スザクとしてはまずいから手元に残しておけなかったんだろうけど、さすがに一枚も無いとは少々がっかりだ……なぁ、カレン。君は持ってない?」 そして、ジノはどこか不敵に口元を歪めた。 「興味があってね」 カレンは心の中で警戒心を強めた。軽率な発言はまずい。このナイトオブスリーの傍にはいつも彼がいる。 「テロリストが仲間の写真を肌身離さず持ってると思う?」 そんなもの持っていたら、万が一捕まった時、他のメンバーの顔が割れてしまう。追われる立場の人間はそんなもの持たない。特に大切な人なら尚更だ。 「分かってたよ。聞いてみただけさ」 「つかめない男ね、あなた」 「親友にもよく言われるよ」 カレンは、ジノの言葉に心を揺らして口を閉ざした。ジノが親友と呼ぶのは二人しかいない。それぐらいカレンは知っていた。スザクと、 「んっ、どうかしたか?」 ジノの問いに、カレンは即答できなかった。 「まぁ、いいや。女性の秘密を無理に聞くのは趣味じゃない」 ジノは手元の分厚いアルバムをゆっくりと閉じた。 「さて話を変わるけど。紅月カレン。檻の外に出たくないか?」 唐突な提案に、思い描き始めた彼の笑顔が頭から追い出される程にカレンは困惑した。 そんなカレンに、ジノは無邪気な笑顔で応じた。 「スザクを探してたのは本当だけど、正直に言うと君にこの事を提案しに来たんだ。どうだろうカレン。君にはもう一つの名前がある。それなら、“こっちに戻ってこれるし”、さらに望めばラウンズにだって――」 ジノの言わんとしている事を、カレンは瞬時に理解した。 カレン・シュタットフェルト――過去に捨てて、二度と名乗らないと誓った名前。その誓いを破ってブリタニア人になるなど、黒の騎士団の零番隊隊長としては決して許容できることではない最悪の裏切りである。しかし……、 同時に、自分はただの紅月カレンでもある。一年前、それに気付かされた……。 「少し考えさせて」 カレンの返答に、ジノは肩をすくめた見せた。 「そう言われるとは思ってたけどさ、少しは考えてみてくれてもいいんじゃ……」 とここで、ジノは目を見開き、思わず檻代わりの強化ガラスに顔を近づけた。 「今、何て言った?」 「少し考えさせてほしい。急には決められない」 カレンは、はっきりとした口調で告げた。 自分で提案しておきながら、ジノが一番驚いていた。 ○ 森に囲まれたその神社は、外で起きている激しい戦争がまるで別世界の出来事と思えるぐらい静寂な空気に包まれていた。 その境内の中心に立ちながら、スザクはとある人物を待っていた。 しばらくして風が彼の気配を運んできた。不審者を訝しがるように、木々で羽根を休めている鳥たちが小さく、しかし重ねて鳴き声を漏らす。 スザクは、待ち人の姿を確認して組んでいた腕を解いた。 「よく僕の前に顔が出せたね」 黒い髪の持ち主――スザクの親友だった男は学園生活ではひた隠しにしていた、野望じみた雰囲気を復活させて、姿を現した。 スザクの待ち人とは、記憶を取り戻した黒の騎士団リーダー、ルルーシュ・ランペルージだった。 スザクの携帯にかかってきた一本の電話。それは記憶を取り戻したルルーシュからのものだった。ルルーシュは自身が記憶を取り戻したことを明かし、そしてとある懇願をしてきた。 スザクはその懇願を聞き届ける場として、この神社を指名し、そして今に至る。 「約束だからな」 その言葉に、スザクは自身の中で湧き上がる憤怒を感じ取った。脳裏にかすめるのは桃色の長髪をなびかせながら、子供のようにころころと表情を変化させる少女の姿だった。 いつの間にか、スザクの拳には力が込もっていた。 「約束? 君との約束なんて僕が信用すると思っているのか?」 ルルーシュの顔が目に見えて強張った。 「なら、なぜお前はここにいる。お前だって俺の事を――」 「信用したからここに来たとでも?」 スザクは奥歯を強く噛んだ。 「笑わせるな。そんな感情を君に抱く次元などとうに通り越している」 スザクは、ルルーシュから視線を外し囲まれた森の木々から覗かせる青い空を見上げて、小さく深呼吸した。気持ちを落ち着けるための行動だった。しかし、感情は穏やかになるどころか、ますます加速していった。 「ずっと僕を裏切っていたくせに。僕だけじゃない。生徒会のみんなも、ナナリーも、ユフィだって!」 最後には言葉があふれ出した。気づけば涙が頬を伝っている。 その声を、ルルーシュは苦しげな表情で受け止めていた。その姿が、スザクにとってはとても腹立たしかった。 「確認したい。君がユフィにギアスをかけたのか」 無理に激しい感情を抑え込んだような震えた声の問いかけ。返答は、すぐに返っては来なかった。 スザクはしびれを切らし、続けて問いかけた。 「それとも、“君達”がやったのか」 ルルーシュは目を伏せて、その場の景色と同化したかのように佇むだけだった。 ○ 六対四。それがキュウシュウブロックにて切って落とされたブリタニア軍と黒の騎士団の戦いの戦力差だった。 「三日間も戦っていて、未だに勝利の目処が立たん。まいったまいった」 と、キュウシュウブロック、そのブリタニア防衛軍の軍司令に任命されたナイトオブナイン――ノネット・エニアグラムはG-1ベース艦橋の巨大モニターを眺めながら、うんざりするように言った。 周りには参謀が並び、それぞれの職務を果たさんと、移り変わる戦況を逐一確認し、意見を述べようとする。しかし、彼女の軽口に応える人物はその中にはいない。 借り物の軍隊はこれだから扱い辛い、とノネットは思った。しかし、自身に常に同行しているはずにの側近はモニカとの模擬戦でことごとく病院送りにされてしまったため――しかも責任は自分自身にもあるため――仕方がないと納得する他無かった。 「あなたに責任はありませんよエニアグラム卿」 ノネットの呟きに反応したのは、同じく自身の側近を連れて来れなかった同僚、ナイトオブトゥエルブ――モニカ・クルシェフスキーだった。彼女は、司令席に座るノネットの傍に立ち、この三日間副指令的な立場で軍に指示を出していた。 「局地的に部隊を突出させて、損害を与え、こちらが対応するころには突出してきた部隊は守備を固めて後退。指揮系統が極端に一本化されているこちらの弱点を突いた良い作戦です」 一般的に拠点攻めは守備の方が有利と言われているが、それは一点に防衛を絞った時の話で、今回のように防衛目的が国のような広大なものに変わってくると話は別である。 守る範囲が広大で、どうしても指揮系統が一本化、つまりノネット・エニアグラムの指示ありきの行動が徹底されているキュウシュウブロックブリタニア防衛軍では局地的に戦力を集中され攻撃されると、 状況報告、指示発令、指示伝達と経緯を踏まなければいけない防衛軍の反応は少々遅れてしまう。本来ならこういう場合、攻撃を事前に知っておくための情報戦が重要で、どこを攻撃されるかの情報収集は徹底的に行っているのだが、 相手の部隊の隠密移動が巧妙でなかなか先手を取れない。もっとも、しょせん隠密行動を行える程度の戦力しか攻め込んで来れないため、防衛軍の被害は大きくならないが積み重なれば小さくもない。 ノネットの感覚で言えば、チマチマと攻めてきて非常に面白くない! 対策としては、こちらも局地的に権限を持った司令官を配置し、局地の攻撃には局地で迅速に対応させるというのがあるが、モニカと話し合った末に、この手段は却下した。理由は簡単。強固な指揮系統の確立こそブリタニアの強みなのである。 しかし、逆を言えば指揮系統が強固であるが故に、現場で適切な判断ができる司令官たる器の軍人が育ちにくい環境であるため、全体的にはそう言った軍人の数が少ない。 上からの命令を適切に遂行できる司令官と、現場の状況を見て、場合によっては己の考えだけで適切に判断し任務を遂行できる司令官は似ているようで本質が違う。特にブリタニアという国は前者は育ちやすいが後者は育ちにくい。 その上、今回ノネットとモニカが指揮する軍隊の現場指揮官達は、元々二人が指揮していた部隊ではなく、いわば借受の部隊。 指揮に優れた適切な人員配置を一日二日で見極めて実行するのも難しいため、結局ブリタニアとしては指揮系統を一本化したスタンダードな戦法を取るしかない。 もちろん、ノネットとモニカが自身の部下を連れてこれていれば状況も違うのだろうが、無いものねだりをしても仕方がない。 「いっその事、もっと積極的に攻めてきてくれればな」 「そのつもりはないみたいですね」 モニカの言葉はおそらく真実だろう、とノネットは思った。事実、会戦当初は全軍を動かすような激突もあったが、現在は黒の騎士団の攻勢が弱まっているので小康状態である。 普通に考えたら、海をわたって攻め込んできている以上、補給線等の問題もあるため、黒の騎士団は短期でこちらを落したいはずであるのに、である。 「あいつらは何のために攻めてきてるんだ」 問いかけるというよりは、自分の疑問を自分に認識させるような呟きだったが。モニカは意見を求められたと思ったのか目線を上に向けて、少々思考を巡らせた後、 「……拠点を攻略する気の無い軍隊の目的というのは、歴史をひも解いてみたら選択肢はそう多くないですよね」 ノネットは背もたれに預ける体重を増やし、腕を組んだ。 「陽動か」 「ゼロはいままで自身も前線に立つ事を信条とし、それを是としててきました。その彼がこのエリア11を奪還する戦いに未だ姿をさらしていない。気にするなと言う方が無理でしょう」 ゼロが姿を現していない件については、ノネットも気にしていた事である。確かに、黒の騎士団の司令官――黎星刻は前に出てきているものの、やはりここはゼロの姿が見えなければ安心はできない。 そうなれば、ゼロは今どこで何をしているのか。 ノネットは考えを巡らして、やがて諦めた。結論を出すにはあまりに情報が少なすぎる。 「推論のやり取りをしていても仕方がない。とにかく、我々は受け持った現場の被害を最小限にする方法を考えよう」 「まぁ、そうでしょうね。考えをまとめるには情報が足りませんから。それにもし敵がこっちの本丸に奇襲をかけたとしても大丈夫ですよ。あそこには、うちの隠し玉がいますし」 どこか得意げに言うモニカを見て、ノネットは愉快そうに笑みを浮かべた。 「えらい信頼のしようだな」 「私が惚れるぐらいですから」 「言うねぇ」 「若いですから」 「それは誰と比較して言っているのかな」 「さぁ、誰でしょうね」 二人の乾いた笑い声が司令室に響く。と、その時、若い兵士が司令室に飛び込んできた。 「何事だ。騒々しい」と、参謀チームの一人が飛び込んできた若い兵士に近づいた。 「ほ、報告いたします!」 若い兵士は、ひどくあわてているらしく、うわずった声を漏らす。 そうして告げられた報告を聞いて、ノネットとモニカは自身の推論の正しさをため息交じりに確認したのだった。 シーン13「罪を負う者」Aパート 終わり。 次話 KOUSEI 45 *
https://w.atwiki.jp/geassdvd/pages/10.html
コメントプラグイン @wikiのwikiモードでは #comment() と入力することでコメントフォームを簡単に作成することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_60_ja.html たとえば、#comment() と入力すると以下のように表示されます。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/777townfolder/pages/28.html
パチスロコードギアス反逆のルルーシュ ☆6スキル ギアスラッシュスタートダッシュ スタートダッシュ ギアスラッシュフラグ フラグ 中段チェリーフラグ フラグ 30回転倍率UP[30倍] 倍率UP ☆5スキル ガウェインスタートダッシュ スタートダッシュ BONUSフラグ フラグ 強チェリーフラグ フラグ 強C.C.フラグ フラグ 40ゲーム確率UP[BIG BONUS:1/69] 倍率UP 40ゲーム確率UP[REGULAR BONUS:1/65] 倍率UP 40ゲーム確率UP[BONUS:1/66] 倍率UP 20ゲーム確率UP[ギアスラッシュ:1/39] 倍率UP 10ゲーム確率UP[強チェリー:1/19] 倍率UP 10ゲーム確率UP[中段チェリー:1/20] 倍率UP 10ゲーム確率UP[強C.C.:1/16] 倍率UP アバター PRM C.C. PRM ルルーシュ・ランペルージ SSK ナナリー・ランペルージ
https://w.atwiki.jp/geassdvd/pages/2.html
メニュー トップページ メニュー 検証ページ STAGE 5 STAGE 6 STAGE 7 更新履歴 取得中です。
https://w.atwiki.jp/codegeasslc/pages/10.html
コメントプラグイン @wikiのwikiモードでは #comment() と入力することでコメントフォームを簡単に作成することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_60_ja.html たとえば、#comment() と入力すると以下のように表示されます。 c.c.のEDって黒の騎士団編のやつないのかよ -- 名無しさん (2012-01-12 17 39 28) ミレイの学園ルートの温泉旅行って二回目からの攻略でいけるってこと? -- カレンLOVE (2012-06-05 22 31 21) 学園ルートの二周目(二回目)からね。学園ルートのエンドを誰でもいいから一度みたあと。 -- 名無しさん (2012-06-18 22 42 14) 日本解放戦線篇のカレンEDって何でしょうか…? どなたか見たことあります? -- 名無しさん (2012-06-19 16 57 08) 日本解放戦線篇にカレンEDがない -- 名無しさん (2012-08-02 18 55 36) ↑ないですよね… じゃあ、日本解放戦線篇CGの1ページ目6つ目の画って何なんだろうか…… -- 名無しさん (2012-08-19 09 33 33) ↑千葉EDルートで千葉VSカレンの時に「カレンをかばう」にすると千葉でなくカレンが主人公を抱きかかえるCGが出るのでそれのことだと -- 名無しさん (2012-12-17 19 20 33) 更新されないなー -- 名無しさん (2013-05-19 21 49 14) ヴィレッタEDは素晴らしい。ブルームーン編除けば12を争うギャルゲ√ -- 名無しさん (2013-07-25 03 42 14) もう攻略は出尽くしたかな -- アキ (2013-12-26 12 41 22) 学園編のルルーシュ√、温泉にルルーシュと入れないとルルENDは厳しいってあるけど、スザクと入れる事ってあるの? -- 名無しさん (2013-12-29 05 59 53) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/codegeasslc/pages/129.html
■CG 黒の騎士団篇 [5ページ目] 1 突入 学園祭後のスザクとの会話(選択肢は△ここでギアスを使えばを選ぶ) 2 リフレイン中毒者 リフレイン押収 3 ガウェイン 遺跡イベント 4 トウキョウ決戦 学園祭後のスザクとの会話(選択肢は△ここでギアスを使えばを選ぶ) 5 ブリタニア一般兵 ナリタ攻防戦イベント(選択肢は×僕に任せればいい→△ギアスを使う) 6 ポートマン 「ディートハルト、参画」(戦闘補佐ルート) 7 厳島の奇跡 「四聖剣」(選択肢は△ギアスをかけて色々聞くを選ぶ) 8 厳島の奇跡 「四聖剣」(選択肢は△ギアスをかけて色々聞くを選ぶ) 9 スザクとC.C. 行政特区イベント [6ページ目] 1 合衆国日本 学園祭後のスザクとの会話(選択肢は△ここでギアスを使えばを選ぶ) 2 ランスロット ナリタ攻防戦イベント 3 紅蓮弐式 ナリタ攻防戦イベント 4 無頼改 「進むべき道」(戦闘補佐ルート)
https://w.atwiki.jp/777townforandroid/pages/643.html
デザイン 機種 パチスロコードギアス 反逆のルルーシュ アニメーション なし スキル効果 次ゲームに10%の確率でチェリーが成立する 消費SP 14 入手方法 スキルフィギュアガチャ LvMAX経験値 ? 限界突破素材 限界突破先 限界突破元 備考
https://w.atwiki.jp/lcss/pages/78.html
前話 ターン11「シャーリー」Cパート ブリタニア帝国宰相府。その一番奥にある執務室には一人の男が腰かけている。 シュナイゼル・エル・ブリタニア。平和外交での彼を知る者は紳士、戦争外交での彼を知る者は悪魔、とそれぞれこの男を形容する。 今、そのシュナイゼルは執務室の上にあるパソコンを眺めながら、何やら物思いにふけっていた。端正な顔立ちが、どこか面白くなさそうに歪んでいる。 「珍しいこともあるものですわね」 声に反応して、シュナイゼルは首の角度を調節した。 「ああ、なんだカノンか」 シュナイゼルは執務室に入ってきた人物――副官のカノンを見ると、軽く笑った。 「まるで、クイズの解けない子供のような顔をしていましたよ」 「そうかい? それは恥ずかしい所を見られてしまったね」 と言っても、別にシュナイゼルは恥ずかしさのあまり顔を赤くしたりなどしない。ただ、また笑うだけである。お互いの恥ずかしい所などとうに知り尽くしている二人なのだ。 「何をご覧になっていたのですか?」 「んっ? ああ、これかい」 シュナイゼルは、自身のパソコンを動かして、その画面をカノンにも見えるようにした。 カノンは顔を下げて画面を覗き込んだ。そこには、二色に色分けされた世界地図があった。 「超合衆国ですか……」 カノンが神妙面持になった。 無理もない。 超合衆国。黒の騎士団のリーダー、ゼロによって組織化が強力に推し進められてきた勢力である。最初は分裂した中華連邦の一部がゼロに賛同したにすぎなかった言わば“ゼロ勢力は”、今や超合衆国と名を変えて、その力を世界の四分の一ほどに膨れ上がらせていた。 しかも、この超合衆国は声高々に打倒ブリタニアを叫んでいるのだ。ブリタニアにとっては、敵らしい敵となる初めての存在ではないだろうか。 「私が行こうと思うんだ」 シュナイゼルの言葉に、カノンは形の整えられた眉を微細に動かした。 「殿下自ら、ですか」 「それぐらいしなければいけない状況だよ、これは」 「エリア11は、戦場になると?」 「……そうならない努力は、してきたつもりなんだけどね」 戦争が起きる。しかも、回避は不可能。となれば現在のエリア11の総督であるナナリーには少々荷が重い、とシュナイゼルは考えていた。 ナイトオブラウンズが三人補佐に付いているし、その中にはシュナイゼルがその能力を高く評価しているあの男もいるが、それでも、今回は一介のエリア内で処理をする範囲をゆうに超えている。 シュナイゼルは、椅子の背もたれに深く体を預けた。 「超合衆国。ここまで大きくなるのを止められなかった。流石はゼロ、奇跡の男というところかな」 「ですが」 カノンはすました顔で言葉を続ける。 「奇跡というのは、続けて起きるものではありませんわ」 シュナイゼルはカノンの言いようがいたく気に入ったようだった。 「そうだね。ここらで打ち止めになってもらいたいね」 二人は、声を立てずに同時に笑った。 この瞬間、シュナイゼル旗下を含め、一個師団以上の戦力がエリア11に出撃することが決定した。 「では、ご出立はいつになさいますか?」 「父上に許しをいただいてからだから、来週かな」 「それはまたずいぶん急ですね。言わずともお分かりになっていると思いますが、軍隊を動かすというのも結構手続きが面倒なのですよ」 「その割には、困った顔をしていないじゃないか」 「殿下の言われることにいちいち動転していたら。今頃私の心臓はつぶれていますから」 「ハ頼りにしているよカノン」 その時、外からドアをたたく音がした。シュナイゼルは、カノンとの穏やかな雰囲気を打ち切って、その表情を帝国宰相のものに戻した。見ると、カノンも笑顔を消して、その真剣な顔をドアへと向けている。 「どうぞ」 シュナイゼルが言うと、ドアがゆっくりと開いた。 「失礼します」 「ほう、これはこれは」 訪問者の顔を見て、シュナイゼルほどの男が軽い驚きを覚えた。訪ねてきたのは、それほどの人物だった。 「急にお伺いして申し訳ありません殿下」 入室してきた男は、シュナイゼル達の前まで歩き、そして跪いた。男の“白いマント”が赤い絨毯の上でフワリと舞い、床に広がった。 「わざわざナイトオブワン自らとはね。何かあったのかな?」 「お話があります」 ナイトオブワン――ビスマルクが顔をあげる。ほりの深い顔立ちの立派な体格をした騎士で、そしてブリタニア最強の男。それが彼、ビスマルク・ヴァルトシュタインだった。 彼の瞳には一つの光しか無かった。異様な事だが、彼の片目は、なにかリングのようなもので塞がれていた。巷では、過去の戦いで目を潰してしまったのだとも、鍛錬のためにあえて片目を塞いでいるのだとも言われているが、真実は誰も知らない。 「……聞こうか」 シュナイゼルは手元のノートパソコンを閉じて、ビスマルクに立ち上がるよう促した。カノンが心持ち、シュナイゼルの方に近寄った。 ○ 「皇帝陛下が行方不明!?」 エリア11政庁での会議室には、文官武官の中でも特に地位の高い者達が勢ぞろいしていた。皆、優秀と言われるにふさわしい人物達であり、文官武官にかかわらず少々の事では動じない心を持つ猛者達である。しかし、彼らの瞳は、この時ばかりは大きく見開かれた。 「それは本当なのですか?」 場を代表して、コーネリアの騎士ギルフォードがナナリーに確認する。ナナリーは頷いて、 「はい、本当です。先ほどシュナイゼル宰相閣下からご連絡をいただきました。当面はここにいる人たちだけの話とさせて下さい。帝国本土でもごく一部の人にしか知らされていないようですから」 「一体何があったというのですか?」 ギルフォードが驚きを隠せぬ表情のまま更に尋ねる。ナナリーは、今度は顔を横に振った。 「現在は調査中との事です。これ以上は何も言えません」 ナナリーのその時の表情を見て、この場の察しのいい何人かは、ナナリー自身も皇帝失踪について、詳しく知らされていないという事に気付いた。 「お待ちください」 そんな中、更にナナリーを問い詰めるような発言をしたのはグラストンナイツのエドガーだった。ロイ・キャンベルの隣に腰かけているアルフレッドが、一瞬だけそのエドガーを見る。 「それでは中華連邦への対応はどうなさるのですか。皇帝陛下に宣戦布告をしていただかなくては」 「そ、それは――」 「治安の問題もあります」 ナナリーの横に立つローマイヤが、決して大きくは無いが、よく通る声で言った。 「こんな事がナンバーズに知られたら事です。今後の方針を示していただかない事には、我々も職務に打ち込みようがございません」 その言葉には、どこか突き放すような冷たさがあった。 「……」 ナナリーとローマイヤから比較的近い席に座るジノ・ヴァインベルグは、怪訝そうに眉を寄せた。 「それは、そうなのですけれど……」 ナナリーとローマイヤの間から何か私怨的な感情を感じ取り、これはあまりよろしくないなと判断すると、ジノは発言を促すように隣に座る友人を見た。 基本的にローマイヤが苦手なジノは、ことこういうローマイヤに関しての対応は、友人であるロイに一任していた。 しかし、ジノが期待を込めて視線を向けた先にあったのは、 「……」 目の前で起きているいざこざに全く関心を示していないどころか、むしろ気づいてないんじゃないのか? と思えるように、ただ頬杖をついてあらぬ方向に顔を向け、ボケーっとどこかに視線を泳がしているロイ・キャンベルの姿だった。 ちなみに、その顔には修理されて戻ってきた分厚い眼鏡がかけられている。 「おい、ロイ。ロイってば」 ジノは口に手を添えて小声で話しかけてみる。しかし、ロイは全く反応を示さなかった。 「総督はあなたです。ナナリー様」 ローマイヤの口調の鋭さが増していく。ジノは、スザクにも期待するような視線を向けたが、スザクはスザクで女性二人のやりとりを困った表情で見守っているだけだった。 気は進まなかったが仕方がない。人知れずため息をついてから、ジノは目の前で両手を合わせ、少々重い口調になるように意識してから口を開く。 「ミス・ローマイヤ。それは責任の押し付けですか」 その声も、会議室にはよく響いた。 「いえ、そんな事は……」 ローマイヤは口をつぐんだ。それから、彼女は何も発言しなかった。 そのやり取りを最後に、ギルフォードの提案もあって会議は解散となった。 最後まで、ナナリーはどこか疲れた顔をしていた。 ○ 「おいロイ。どうかしたのか?」 ロイがアルフレッドを連れて会議室を出ると、ジノが話しかけてきた。 「どうかしたのかって、何が?」 ロイは足の動きを緩めて、友人が追い付いてくるのを待った。肩が並んだのを確認すると、ロイはまた早足で歩き始めた。 「何がじゃない。お前、さっきの会議は一体何が議題だったか覚えてるか?」 「馬鹿にしないでくれジノ。そんなの、分かるに決まって――」 ロイの歩みがピタリと止まり、分厚いレンズの奥の瞳が大きく開く。ロイは思い出せなかったのだ。約一時間続いた先ほどの会議。一体何が話し合われて、一体何が決定したのかが。 「重症だな」 「重症ですね」 ため息が二つ同時に漏れた。ジノとアルフレッドである。 「今まで言おうかどうか迷っていたのですが。キャンベル卿、一体どうされたのですか。ここ数日の卿はあきらかにおかしいですよ」 ロイは振り返って、背後にいる副官を見た。信じられない事だが、この時ロイは、背後にアルフレッドがいた事に初めて気づいた。 「えっ、そうかな……」 「そうです」 アルフレッドはキッパリと言って、頷いた。 「書類ミスは当たり前。会議はすっぽかそうとしますし、ナナリー様から頼まれていた計画書の期限は破るし、それに……」 アルフレッドは、ロイをチラリと見て、そして咳払いを一つ、 「今だって、なぜかアールストレイム卿のマントを羽織っておられますし」 「えっ!?」 ロイが首をひねって背中を見ると、そこには見覚えのあるピンクのマントがひらめいていた。会議に出席する前にはちゃんと自分のマントを付けていたはずなので、会議後、外していたマントを改めて付けるときに、間違ってアーニャのマントを手にとってしまったのだろう。 「何やってるんだよお前は……」 ジノの嘆息に、カメラのシャッター音が重なった。長身の男三人は同じ方向に顔を向け、そして同時に視線を下げた。。 「記録。しかもレア」 いつの間にか、ジノの隣には、カメラと紫色のマントを肩に担いだアーニャがいた。どうやら、ロイがマントを間違って持って行ったのに気がついて、後を追ってきたらしい。 「アーニャ、すまない。どうやら間違えたみたいだ」 ロイはピンクのマントを取り外し、それをアーニャに差し出した。 「構わない。むしろ交換する?」 「遠慮します……」 「そう、残念」 アーニャは、ロイから桃色のマントを受け取ると同時に、肩に担いでいた紫色のマントを差し出した。ロイはそのマントを受け取ると慣れた動作で背中に身に付けた。 その様子を、どこか呆れた表情で見ていたジノとアルフレッドは、顔を合わせて肩をすくめた。 「一体全体どうしたんだよロイ。どこか体の調子でも悪いのか?」 慣れたマントの付け心地を確認しつつ、ロイは顔を振った。 「そんな事はないよ。いたって健康さ」 「じゃあ、どうしたんだよ。なんか悩みでもあるのか?」 ジノの問いかけを受けて、ロイの体は、一瞬微細に震えた。 悩み。それとは少し違うが、ロイの中では今、数日前の一つの出来事が何度も反芻されてた。 あの地下での出来事。彼女の体の温かさ。どこか奥底をくすぐる甘いにおい。 紅月カレン。 ロイはあのキスが忘れられなかった。日常の一間一間に、あの出来事を思い出してしまう。あの快楽を、あの何か無くしたものを得たような充足感を。 「……悩みなんて、そんなものは無いさ」 ロイは事実を言った。確かに嘘は付いていないのだが、なぜかその言葉に、ロイは後ろめたさを感じた。 傍のアーニャが、返してもらったピンクのマントを身につけながら何かを言いたそうにロイを見つめていた。その視線に、ロイは程なく気づく。 「ん、何?」 アーニャはしばらく返事を迷ったようだった。しかし、彼女は、すぐにまっすぐロイを見つめて、 「ロイ。話がある」 そのアーニャの真剣な表情と口調に、ロイはただならない何かを感じとった。 「? どうしたのさ、改まって」 「大事な話。二人きりで話したい」 「二人きりで? ここじゃあ駄目なのかい?」 ロイは、傍に立つアルフレッドとジノを交互に見た。ジノの顔はなぜかニヤニヤとしており、アルフレッドの態度はどこか不愉快そうだった。その二人の対比がロイには印象的だった。 「そうだ、俺は仕事が残ってたんだった。もう行かなきゃ」 と、ジノはどこか棒読みで言って、それからロイに近寄った。細長い腕が、すぐにロイの肩にまとわりつく。 「あとで、どうなったか教えてくれよ」 ジノの声量は囁きに近かった。 「? 何が?」 意味が分からずロイが聞き返すと、ジノは軽い足取りでロイから離れた。 「今は意味が分からなくていいよ。とにかく、後で教えてくれ」 そして、そのままジノは軽い足取りで身をひるがえすと、スタスタと廊下の向こうに歩いて行ってしまった。 「私は反対です」 ロイが釈然としないものを感じつつジノの後ろ姿を見送っていると、背中からアルフレッドの声があがった。振り返ると、アルフレッドがアーニャに詰めよっていた。 「アールストレイム卿。よりによって今ですか? あなたは先ほどの会議を聞いていたのですか? こんな大変な時期にこれ以上私の上官を困らせるような事はやめて下さい」 「うるさい」 アーニャが、苛立たしげに金髪の青年に言い返した。 「もう言うって決めた。そもそも、あなたには関係ない」 「ありますとも!」 アルフレッドは引き下がらない。むしろ胸を張って一歩前に出た。 「いいですか。キャンベル卿はただでさえ多忙な職務を遂行しておられるのです。特にここ最近のキャンベル卿の夢うつつ状態のおかげでその仕事が未処理のまま溜まりに溜まっているのです。 それなのに、あなたの個人的で身勝手な感情でキャンベル卿の心境をさらにひっかきまわそうとするような行為は許容しかねます。別にあなたに思うところがあって言っているわけではないんですよ」 アルフレッドは最後に余計な事を言った。 アーニャは音の無い舌打ちをした後、アルフレッドから顔をそむけた。しかし視線だけはアルフレッドに向けてボソッと言い返す。 「泣き虫のくせに……」 アーニャの発言は痛烈だった。アルフレッドの背後に大きな雷が落ちたようだった。 「私に模擬戦で負けて大泣きしたくせに、偉そうに」 それは、言わばトラウマに近かった。 小さな声量の暴言がアルフレッドを直撃した。 アルフレッドは一瞬、反論する口を失ったかのように沈黙を守り、数歩後ろに後ずさっていたが、 「べ、別に泣いてなんていません!」 そう言い返したアルフレッドの頬は赤かった。 「泣いた。ワンワンと」 アーニャはこぶしを目元に持って行って、ワンワンと泣く子供のような仕草を無表情な顔でやってのける。 アルフレッドの顔が更に赤くなった。 「そんな子供みたいな泣き方をするわけないでしょう!」 「事実だから仕方がない」 「ねつ造は止めて下さい!」 「弱虫アルフレッド」 この時、アルフレッドの中の、大人の理性とか大人の余裕というものが粉々に崩れ去った。 「……いいでしょう。今度は私が泣かせて差し上げましょう」 「弱いものいじめは、趣味じゃないんだけど」 アーニャは懐に携帯をしまい、目をスッと細めた。 「売られたケンカは、買うのがラウンズ」 段差のある視線の交錯が始まる。その中間では火の元も無いのに火花が散っていた。 「分かった。分かったからもう止めてくれよ二人とも」 そんな二人の間に、存在感を誇示するように割り込んだのは、ロイ・キャンベルだった。ロイは、アルフレッドに分厚いレンズを向けた。 「アルフレッド。悪いけど、君は先に戻っていてくれ」 「い、いけませんキャンベル卿。あなたはいま、ドツボにはまろうとしているのですよ?」 「言っている意味がよくわからないが……アーニャは僕の友達だ。そのアーニャがこうしてお願いしているのだから、僕はそれに応じてあげたい」 ロイの背後で、アーニャがンべ、とアルフレッドに向けて舌を出す。 「それは錯覚ですキャンベル卿! このアールストレイム卿が、いつお願いなんて愁傷な事をしましたか!?」 アルフレッドは上官の肩を掴んで説得しようと食い下がった。しかし、ロイの気持ちは変わらなかった。 「アルフレッド。仕事は帰ったらしっかりとやるからさ。なに、すぐ戻るよ」 「ああ……」 アルフレッドは力ない足取りで、上官から距離を置いた。説得は不可能だと悟ったのだろう。 「し、仕方ありません。副官に許されるのは意見までであって、最終的に決断するのはあなたですキャンベル卿……。しかし、ご忠告はさせてください。くれぐれも、軽率な判断だけはなさらぬよう、お気を付けて」 「その辺が僕にはよく分からない。一体、君はなんの事を言ってるんだ」 「キャンベル卿」 「ん」 「私は、あなたの能力は認めていますが、たった一つだけ、劣っていると思っているものがあります」 不遜な上官なら怒り出すような言葉だが、あいにくロイは部下からの指摘を歓迎するタイプの士官だ。 「聞こうか」 「女運です」 「……」 ロイは返す言葉が見つからない。見つからないうちに、アルフレッドの口が再び開く。 「お早いお帰りを、マイロード」 アルフレッドは一礼して、二人に背を向けた。その後姿にはどこか力が感じられなかった。 「なんなんだ、一体……」 ロイは、小さくなっていく副官の背中を眺めながら心の中に疑問符を浮かべた。常に、報告や言葉遣いが明確な副官にしては、今回の言動はとことん曖昧だった。 そう言えば、ジノの態度もどこかおかしかった。 「別に構う必要はない。それよりロイ、付いてきて。場所を変えたい」 「んっ、ああ。分かった」 ロイは、知りあい達の態度に釈然としまいものを感じながらも、アーニャが歩きだしたのもあって、思考を止めて、小さい背中の後に付いて行った。 その見慣れた背中に、冷たい緊張の汗が流れている事に、ロイは気づかなかった。 シーン11「シャーリー」終わり。 シーン12「 初 恋 」に続く 次話 KOUSEI 41 *
https://w.atwiki.jp/samita_skill/pages/118.html
フラグ ランク スキル名 SP ST スキル説明 ★6 GEASS BIG BONUS 35 共通恩恵 ①252枚獲得のボーナスに当選する②消化後はC.C.タイムに突入する※ボーナス当選まで無限RT ★5 HYPER BIG BONUS 30 共通恩恵 ①250枚獲得のボーナスに当選する②消化後は150GのRTに突入する ★4 NORMAL BIG BONUS 25 共通恩恵 ①205枚獲得のボーナスに当選する②消化後は150GのRTに突入する ★4 滑りギアス目 15 ボーナス期待度 ・27.88% ★3 MIDDLE BONUS 共通恩恵 ①70枚獲得のボーナスに当選する②消化後は50GのRTに突入する ★3 ギアス目 15 ボーナス期待度 ・3.6%(通常時)・100%(RT50G)・13.9%(RT150G)・3.2%(C.C.タイム)※RT状態によって異なる ★3 C.C.揃い 20 RT50G中限定 ・53.3%でボーナスに当選する・ボーナス非当選の場合はC.C.タイムに昇格する ★3 チェリースイカ 15 共通恩恵 ・ボーナス期待度が低すぎるので省略 スタダ ランク スキル名 SP ST スキル説明 ★6 GEASS BIG BONUS×3 25 40 特殊なGEASS BIG BONUSから遊技を開始します。 ▼GEASS BIGスタダ恩恵 ・GBBが成立し消化後C.C.タイムに突入・RT連が終了した次Gで再度GBBが成立・これをストック数分行う ★5 GEASS BIG BONUS×2 30 特殊なGEASS BIG BONUSから遊技を開始します。 ★4 GEASS BIG BONUS 25 GEASS BIG BONUSから遊技を開始します。 ★4 HYPER BIG BONUS 20 HYPER BIG BONUSから遊技を開始します。 ★3 NORMAL BIG BONUS 15 NORMAL BIG BONUSから遊技を開始します。 ★3 C.C.TIME 15 無限RTであるC.C.TIMEから遊技を開始します。 ★3 NORMAL BIG BONUS 30 イベント配布スキル 確率 ランク 確率 G数 スキル名 ST スキル説明 ★5 1/5 30 滑りギアス目 25 30G間、1/5で滑りギアス目当選の特殊抽選を行います。 ★5 1/40 20 GEASS BIG BONUS 25 20G間、1/40でGEASS BIG BONUS当選の特殊抽選を行います。 ★5 1/35 20 HYPER BIG BONUS 25 20G間、1/35でHYPER BIG BONUS当選の特殊抽選を行います。 ★4 1/10 30 滑りギアス目 20 30G間、1/10で滑りギアス目当選の特殊抽選を行います。 ★4 1/80 20 GEASS BIG BONUS 20 20G間、1/80でGEASS BIG BONUS当選の特殊抽選を行います。 ★4 1/75 20 HYPER BIG BONUS 20 20G間、1/75でHYPER BIG BONUS当選の特殊抽選を行います。
https://w.atwiki.jp/geassdvd/pages/12.html
概要 DVD / volume 03収録 作画監督 / 坂本修司 メカ作画監督 / 前田清明 総作画監督 / 千羽由利子、中田栄治 修正点 修正点:ルルーシュのベッドのシーツの色を修正(ここは緑色の布団がかかってないシーンなので本放送時が誤り) 修正点:セシルのPCの画面に表示されている画像にエフェクト(ノイズ)追加 修正点:ユーフェミア右側の背景にぼかしがなくなり鮮明に 修正点:C.C.を再作画(一連のシーンすべて修正) 修正点:画面にジェレミアのサザーランドが表示されていたが、別のデータ画面になっている。 修正点:玉城の左側に、オタクが落としたカメラが追加(本放送時はあったりなかったりしていたので、一連のシーンすべて修正) 修正点:スザクの足下左側に、サングラス追加(本放送時はなかった。一連のシーンすべて修正) 修正点:夕焼け特効の色が黄色からオレンジに。背景も再作画。 修正点:スザクの顔にあった絆創膏がなくなった。(時間軸的に、オレンジ事件よりすこし日が経っている設定になった?) 総評 フリー作監回で、原画スタッフも優秀な回だったので、作画の乱れはもともとほとんどなかった。 よって基本は作画ミスの修正が主だった模様。 ラストのスザク転入時の挨拶シーンは印象的だったので、ここに修正を入れたのは大胆。 時間軸的にオレンジ事件から日が経った設定になったのか、スザクの超人的な体力でケガの直りも早いという解釈になったのか。